苦恋症候群
三木くんの、悲しい過去の話を聞いて……それでも私は、彼がすきだと思った。

彼がすきだから、しあわせになってもらいたいって。

どうか、自分を責め続けないでって。

しあわせになることは、雪妃さんを裏切ることには、ならないんだって。

雪妃さんだって、三木くんのしあわせを、望んでるはずだって。


その気持ちは、言葉は。少しでも、彼に届いてくれただろうか。

ただ、目の前にいただけの私にでも。私が無理やり、聞き出したようなものでも。

三木くんが長年抱えていた苦しみを吐き出したことで、たとえ僅かでも彼の心が軽くなったのならいい。

そうしてできれば、自分のしあわせを、見つけてくれればいい。

……そこに、私がいなくても。彼に本気でぶつかった今の私は、悲しくたって、後悔はしない。
< 299 / 355 >

この作品をシェア

pagetop