苦恋症候群
「『嫌い』なんて言葉は、嘘です」
ぽつりと降ってきたつぶやきに、目を見開く。
切なげに目を細めてるのに、彼はまっすぐに私を見下ろすから、逸らせない。
「森下さんが、俺のことをすきだと言ってくれたときも……ほんとはうれしかった。それと同時に、うれしいと思う自分が、許せなかった。だって俺は、しあわせになってはいけない人間だから」
「三木く……」
「けど、本当はあなたのことが、欲しくて仕方なかったんだ」
身体が震える。心が震える。
だって、彼が……いとおしそうに、私を見つめている。
「雪妃のことは、忘れられないし、あれは誰が何と言おうと、俺の罪です。それを、なかったことにしようとは思いません」
たぶんそれは、三木くんの決して覆らない決意。
その覚悟に胸を痛めながら、それでも私は、続く言葉を待った。
「でも俺は、あなたのまっすぐで正直な言葉を聞いて……ようやく、救われた気がしたんです。自責心は消えません。けど、やっと俺は、あの冬を終わりにすることができる」
また、彼の指先が頬に触れた。
気づけば、私の瞳からは涙が溢れている。
だけど、目の前の三木くんは笑っていた。何かを吹っ切れたような、清々しい笑顔だった。
ぽつりと降ってきたつぶやきに、目を見開く。
切なげに目を細めてるのに、彼はまっすぐに私を見下ろすから、逸らせない。
「森下さんが、俺のことをすきだと言ってくれたときも……ほんとはうれしかった。それと同時に、うれしいと思う自分が、許せなかった。だって俺は、しあわせになってはいけない人間だから」
「三木く……」
「けど、本当はあなたのことが、欲しくて仕方なかったんだ」
身体が震える。心が震える。
だって、彼が……いとおしそうに、私を見つめている。
「雪妃のことは、忘れられないし、あれは誰が何と言おうと、俺の罪です。それを、なかったことにしようとは思いません」
たぶんそれは、三木くんの決して覆らない決意。
その覚悟に胸を痛めながら、それでも私は、続く言葉を待った。
「でも俺は、あなたのまっすぐで正直な言葉を聞いて……ようやく、救われた気がしたんです。自責心は消えません。けど、やっと俺は、あの冬を終わりにすることができる」
また、彼の指先が頬に触れた。
気づけば、私の瞳からは涙が溢れている。
だけど、目の前の三木くんは笑っていた。何かを吹っ切れたような、清々しい笑顔だった。