苦恋症候群
番外編【白雪の記憶】
「……こんにちは。三木遥、です」
初めて目を合わせて言葉を交わした瞬間、すきだと思った。
ああ、これが恋に落ちるってことなんだって。幼いながら、そう思ったの。
親の再婚で成立した、義理の姉と弟。
それはとても儚くて、まるで触れたら溶けてしまう雪みたいに、脆くて簡単に壊せてしまう関係。
彼と過ごした8年間、あたしはいつも苦しくて──どうしようもなく、しあわせだったの。
『苦恋症候群』番外編
~ 白雪の記憶 ~