苦恋症候群
中学3年生の秋。あたしに、3歳年下の弟ができた。
「なあ雪妃、ゲームしよ! こないだの続き!」
外から帰ってくるなりそう言いながらリビングに飛びこんで来た遥が、あたしがいたテーブルに両手をついてにこりと笑った。
あたしが何か言う前に、今日は非番だったお父さんが新聞から顔を上げて遥を睨む。
「こら遥。雪妃お姉ちゃんは今宿題中」
「雪妃は頭いーから後でもちゃちゃっとできるだろ。今はゲーム!」
「おまえは……」
相変わらずの父子のやり取りに、あたしはふふっと笑った。
「いいんだよお父さん。遥、一緒にゲームしようか」
「やったー!」
「……雪妃は遥に甘い」
ペンケースにシャープペンと消しゴムをしまって、ソファーで苦い顔をするお父さんを振り返る。
「ふふ。だって、だいすきな弟だもん」
「へへっ」
あたしの言葉に、ちょっと照れたように遥がはにかむから。
またにっこり、笑顔を返す。
本当だよ、遥。
お姉ちゃんは……あたし、は。
本当に、遥のことがだいすきなんだよ。
「なあ雪妃、ゲームしよ! こないだの続き!」
外から帰ってくるなりそう言いながらリビングに飛びこんで来た遥が、あたしがいたテーブルに両手をついてにこりと笑った。
あたしが何か言う前に、今日は非番だったお父さんが新聞から顔を上げて遥を睨む。
「こら遥。雪妃お姉ちゃんは今宿題中」
「雪妃は頭いーから後でもちゃちゃっとできるだろ。今はゲーム!」
「おまえは……」
相変わらずの父子のやり取りに、あたしはふふっと笑った。
「いいんだよお父さん。遥、一緒にゲームしようか」
「やったー!」
「……雪妃は遥に甘い」
ペンケースにシャープペンと消しゴムをしまって、ソファーで苦い顔をするお父さんを振り返る。
「ふふ。だって、だいすきな弟だもん」
「へへっ」
あたしの言葉に、ちょっと照れたように遥がはにかむから。
またにっこり、笑顔を返す。
本当だよ、遥。
お姉ちゃんは……あたし、は。
本当に、遥のことがだいすきなんだよ。