苦恋症候群
──いい加減、この不毛な想いを、断ち切りたかった。

だから今日は、電車を乗り継いでわざわざ遥の家に泊まりに来たの。


この気持ちを、昇華するために。



「明日起きるの、8時くらいでいいよな?」



リモコンを操作して部屋の電気を消しながら、眠そうな声で遥が言った。

もう、夜中の1時近くだ。昼間買い物でたくさん歩いたから、きっと疲れているんだろう。

掛け布団から顔を出して遥のいるベッドを向きながら、あたしはうなずく。



「うん」

「おやすみ、雪妃」

「……ん。おやすみ、遥」



そう言って、目を閉じたけれど。あたしは全然、眠くなんてなかった。

すぐ隣りに、遥がいる。それだけで、あたしの心臓は、うるさいくらいに早鐘を打つ。

だけどこのドキドキの理由は、それだけじゃない。


……ねえ、遥。

遥はこんなお姉ちゃんを、嫌いになる?
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