苦恋症候群
これは、罰なんだろうか。“仲の良い姉と弟”という関係を壊そうとした、自分への天罰なのだろうか。

自分勝手なあたしに、なんてお誂え向きな、最期。


ああ、それでも。

久しぶりに彼と過ごした時間は、苦しくて、切なくて。

だけど、しあわせだった。

久しぶりに一緒にごはんを食べたことも、久しぶりに、遥の寝顔を見られたことも。

全部、うれしかったの。


遥、ごめんね。最後に自分に向けられた表情があんな苦しげなものなんて、切ないなあ。

どうせなら、笑顔が見たかった。

でも、ああ、どうしよう。

あたしがこんなことになって、あのやさしい子は、きっと自分を責めてしまう。

それは、嫌だな。心残り、だな。



「……ッ雪妃!!!」



完全に意識が途切れる直前、あたしの名前を呼ぶだいすきな声が聞こえたような気がしたのは、ただの願望だったのかな。



『あたし、遥くんみたいな弟ができるの、すごくうれしいな』

『俺も、雪妃ちゃんがお姉ちゃんになるのうれしい!』



……遥、だいすきよ。

今度はまた、別のいのちで

きみに、会いたい。





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