苦恋症候群
数年前の思い出にぼんやり浸りながら、手元のペットボトルを握りしめる。
ふと、自販機からコーヒーを取り出そうと屈んだ課長の横顔がいつもよりどこか疲れているように見えて、思わず口を開いた。
「……課長、何かあったんですか?」
「え?」
パッと、少しだけ驚いたような顔をした真柴課長がこちらを振り向く。
その反応に私はなんだか気恥ずかしくなりながら、言葉を続けた。
「いや、あの……なんだか課長、元気ないみたいだから」
「………」
「いえあの、私の気のせいなら、いいんです。っあ、そうだ、これ!」
言いながら、ベストのポケットからアメを取り出す。
大西さんに触発されて、昨日の帰りにコンビニで買ったいちごみるくキャンディ。
包装にかわいらしいいちごのプリントがされたそれを、はいっと課長の前に差し出した。
「ええと、糖分は、大事なので!」
ほんのひと時、なぜだかぼうっと、私が出している手のひらを見つめていた真柴課長。
次の瞬間、彼がぷっと吹き出す。
ふと、自販機からコーヒーを取り出そうと屈んだ課長の横顔がいつもよりどこか疲れているように見えて、思わず口を開いた。
「……課長、何かあったんですか?」
「え?」
パッと、少しだけ驚いたような顔をした真柴課長がこちらを振り向く。
その反応に私はなんだか気恥ずかしくなりながら、言葉を続けた。
「いや、あの……なんだか課長、元気ないみたいだから」
「………」
「いえあの、私の気のせいなら、いいんです。っあ、そうだ、これ!」
言いながら、ベストのポケットからアメを取り出す。
大西さんに触発されて、昨日の帰りにコンビニで買ったいちごみるくキャンディ。
包装にかわいらしいいちごのプリントがされたそれを、はいっと課長の前に差し出した。
「ええと、糖分は、大事なので!」
ほんのひと時、なぜだかぼうっと、私が出している手のひらを見つめていた真柴課長。
次の瞬間、彼がぷっと吹き出す。