苦恋症候群
「それじゃ、今日も1日ご苦労さんってことで」
「ふふっ、ハイ。お疲れさまです」
カチン、とグラスを合わせ、各々お酒を口に含む。
ごくん、ごくんと一気に5口ほど流し込んだ私に、課長がにやりと笑った。
「やっぱいーなあ、森下の飲みっぷりは。女にしとくのもったいない」
「ちょっとそれ、どういう意味ですかー?!」
「はは。まあ、おまえが男だったら、もっと気軽に飲みに誘えるのにってこと」
何気なく発せられたその言葉に、どきりと心臓がはねた。
勘違い、しちゃダメだ。別に、課長が私のこと“オンナ”として見てるってことじゃない。
ただ私が生物学上“女”だから、単に誘いづらいってだけ。
私はへらりと笑みを浮かべて、わざとらしく右手を振った。
「えーっ、私女子力皆無で男みたいなもんですよ? いくらでも飲みに連れてってくれて構いませんよ?」
「どんだけ俺におごらせる気だよ。つーかおまえも、週末の金曜日に予定のひとつもないなんて寂しいなあ」
「ちょ、それ言わないでくださいよ……いやまあ、今日はたまたま空いてたんです! 彼氏いないアラサー女でも、それなりに予定は入ってるんですう」
「はいはい、そいつは失礼しました」
「ふふっ、ハイ。お疲れさまです」
カチン、とグラスを合わせ、各々お酒を口に含む。
ごくん、ごくんと一気に5口ほど流し込んだ私に、課長がにやりと笑った。
「やっぱいーなあ、森下の飲みっぷりは。女にしとくのもったいない」
「ちょっとそれ、どういう意味ですかー?!」
「はは。まあ、おまえが男だったら、もっと気軽に飲みに誘えるのにってこと」
何気なく発せられたその言葉に、どきりと心臓がはねた。
勘違い、しちゃダメだ。別に、課長が私のこと“オンナ”として見てるってことじゃない。
ただ私が生物学上“女”だから、単に誘いづらいってだけ。
私はへらりと笑みを浮かべて、わざとらしく右手を振った。
「えーっ、私女子力皆無で男みたいなもんですよ? いくらでも飲みに連れてってくれて構いませんよ?」
「どんだけ俺におごらせる気だよ。つーかおまえも、週末の金曜日に予定のひとつもないなんて寂しいなあ」
「ちょ、それ言わないでくださいよ……いやまあ、今日はたまたま空いてたんです! 彼氏いないアラサー女でも、それなりに予定は入ってるんですう」
「はいはい、そいつは失礼しました」