苦恋症候群
「あのさ、おまえが新人の頃、俺の送別会のとき……二次会のカラオケで、俺の大学時代の同期と偶然会ったの、覚えてるか?」
「あ、はい。覚えてます」
そのときのことなら、ぼんやりと記憶にある。
カラオケの店員さんが案内した部屋へ行こうと支店の何人かでエレベーターに乗ったとき、後から慌てて乗ってきたのが、その真柴課長の同期の男性だった。
課長がいつもとは違う、少年みたいな様子でその人と話し込んでいたのを、覚えている。
「ええっと、たしか、白秋銀行に勤めてる方でしたよね?」
「ああ。最近はかなり責任のあるポストについていて、毎日ヘトヘトだって、何ヶ月か前会ったときに話してた」
ゆっくり、噛みしめるように、真柴課長はそう話す。
そして気の置けない友人の話をしているはずなのに、その表情がだんだんと、どこか暗いものになっていっていることに気がついた。
私が疑問を口にする前に、彼が続ける。
「あ、はい。覚えてます」
そのときのことなら、ぼんやりと記憶にある。
カラオケの店員さんが案内した部屋へ行こうと支店の何人かでエレベーターに乗ったとき、後から慌てて乗ってきたのが、その真柴課長の同期の男性だった。
課長がいつもとは違う、少年みたいな様子でその人と話し込んでいたのを、覚えている。
「ええっと、たしか、白秋銀行に勤めてる方でしたよね?」
「ああ。最近はかなり責任のあるポストについていて、毎日ヘトヘトだって、何ヶ月か前会ったときに話してた」
ゆっくり、噛みしめるように、真柴課長はそう話す。
そして気の置けない友人の話をしているはずなのに、その表情がだんだんと、どこか暗いものになっていっていることに気がついた。
私が疑問を口にする前に、彼が続ける。