あなたに出会えて....
失ってしまうもの
平助と舞姫が亡くなってから1ヶ月が過ぎた。
あれから新撰組の皆は徐々に立ち直り始めている。
「平助、舞姫、今日も来たよ…」
私はあの日から表情を失い、組長としての仕事も失った。
あの後皆の前で2度目の吐血をし、3日ほど寝込んでいたのだ。
そしてとうとう仕事を取り上げられた。
いつの間にか布団の上で大人しくすことも出来ないので朝から夕方まで舞姫と平助のお墓にいるのが日課になっていた。
「…舞姫…会いたいよ……っ…」
左手首には無数の傷。
お墓に来ては短刀で手首を斬っていた。
「…うぅ…っ……まい…っ……まいぃ…」
何度も何度も舞姫の名を呼びながら手首を斬った。
痛みなど感じない。
手首から血が流れるたんび孤独感が溢れ出す。
「琴音!」
ビクッ
「とし…ぞ…?なんでここに?」
「今日で1ヶ月だから皆もうすぐ来るぞ。そんなことより、その手首はどうした!?」
「関係ないでしょ。放っておいて」
「馬鹿野郎!」
そう言うと土方は懐から手ぬぐいを出し、琴音の手首に巻いた。
「……………」
「総司には見せるなよ」
「分かってる」
原「琴音、早いな」
琴「そんなことないよ」
永「………………」
それから皆でご焼香をした。
原「琴音、今日は皆で島原行くけどお前も来いよ」
琴「私はいい。総司と待ってる」
原「そうか…。わかった」
悲しそうに笑う左之に胸が痛んだ。
永「……………………」
土「じゃあ俺らは行くからな」
そう言って私の頭をポンポンと撫でると皆は帰って行った。