あなたに出会えて....





「琴ちゃんは随分人気者だね」




「えへへ♫お年寄り限定だけどね」




「なんか……こうして2人で生活するのも悪くないですね…」





「え…?」




「確かにこの数ヶ月、僕は近藤さんの元にいることさえ出来なくて辛い思いもしました。でも…琴音と2人でゆっくり過ごすのもいいな。って思ったんですよ」





「総司……」





総司がそう思ってくれていたと思うと凄く嬉しかった。




「私ね、鬼になろうとしたの。歳三1人が苦しまないように、近藤さんを大名にするために、新撰組を支えるために。でもなれなかった。私は歳三みたいに人を突き放すことができなかったし我儘だし…」






総司は少し考えるような素振りを見せた後に言った。





「確かに琴音は土方さんのように人を突き放したりはしなかったし、我儘でした。でも僕は鬼になれたと思います」





「え?」





「だってそうじゃないですか。女子なのに刀を握り、新撰組の男共と対等に接し、新撰組にとって負の存在がいれば迷いなく切り捨て、鬼の副長を恐れず、人斬りを愛し、多くの仲間を失っても立ち直る。そんな女子を僕は見たことがなかった。琴音は新撰組にしかいない唯一の女の鬼です」




「………………ありがとう」





鬼と呼ばれて喜ぶ女はきっとこの先も私しかいないんだろうな。




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