それでも私は恋をする
「素子ちゃん、ごめん」


高校時代からの友達である、佳子が平謝り。



「ううん…カコちゃん、気にせんといて…」



今日は、カコちゃんの職場の先輩主催のコンパ。友達である消防士の男子と5対5のコンパの予定が、情報を聞きつけたオッサンたちがついてきたらしい。



「埋め合わせするから」


…埋め合わせはいらんから…。



私にまともな恋愛相手を紹介して下さ~い!



虚しい気分で胸をいっぱいにしながら、家路を急いだ。



黒石素子、25歳。
高校卒業後、ベビー用品メーカーに就職。一般事務希望も、営業事務にまわされ、出荷伝票入力と電話応対に日々追われている。



地味で、どちらかといえば不細工な私。磨いたら綺麗になるかもしれないけれど、磨いたって綺麗にならない気がして、何もする気になれない。



私は、過去の恋愛で悉く失敗している。


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