それでも私は恋をする
それでも私は…
「それやったらいいんやけれど…。あの人、最低やで」



上北さんは、私と三沢さんにしか聞こえないくらい、小さな声で言った。


「最低…って?」



聞き返すと、上北さんのギロリとした視線が私を捉えた。



「もう一回聞く…本気…ちゃうやんな?」



ビクッとして後退る。
『本気でした』と言うべきやろうか?と思いながらも、ウンウンと首を縦に振っていた。



「良かった…」



「…で、何が『最低』なワケ?」



三沢さんが、上北さんの鼻先に箸を向けた。



「…オレ、喫煙所で聞いてしまってん…」


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