ウィルトニア帝国歴
両軍の兵馬は大地を鳴らし、蹴り上げられた土砂は砂塵となって天を隠した。
そんな大群の先頭を全身を漆黒に包んだ一騎の将兵が駆けてくる。
そう、後に"ヴェルガの死神"として恐れられる、リガルフ・ルドネルグだった。
彼はまるで死神のように戦場を駆け回り死体の山を築いた。
死神のごとき大鎌と漆黒の名馬の手綱を手に……
しかしその白刃を止めた男がいた。
純白の甲冑に身を包んだその男は、"死神"の鎌を巨大な大剣で受け止めていた。
「戦意のないものに何をするのか!」
男は死神に向けてこう言い放った。