もう二度と、離さない。

日記

「BIG NEWS!」
「ナツ声でかい」
 この後のナツの一言で、私のこの前決意した告白する気持ちを失わせることになる。
「ごめんごめん。聞いてよ!彩華以外に橘先輩の事好きな女子が5人もいるのよ!」
「嘘だろー!?」
「ちょっと女らしくない」
「あ、はい。で、誰?」
「彩華がやっとその気になった時にーって思うけど、言わなきゃ今後が大変かもしれないから言っとくわ。3年の“古瀬亜美”さんよ。この人が5人の中で一番厄介よ。あとの4人は眼中に入れなくてもOK」
「え……」
 “古瀬亜美”たいていライバルって相手が可愛いとか美人とかそう言う人だけど亜美さんはそういう人じゃない。なんというか…一言で言うと…“可愛くない”周りの皆は亜美さんをブサイクって言ってる。顔が良くないのになんで厄介かというと…。
「結構橘先輩とイチャついてるらしいわよ」
 ということです。これが亜美さんの厄介なところです。なんというかスキンシップが多い、ボディタッチが多いというか…。男にベタベタするんですよね。私は嫉妬深い女だからこういうことされてるとこ見るとイライラしちゃうんです。

「ホントに厄介なやつだな、おい」
「彩華さん、男ですよ」
「あ……。でも、どうしよう」
「彩華もアタックすればいいんじゃない?」
「自信がないです……」
「言うと思った。そこで、ネガティブな彩華さんのために一働きしてきましたよ」
「……はい?」
 何を言ってるのか理解できない私。
「だからー!……それは今日の帰りのお楽しみ♪」
「?」
 私はナツのご機嫌な意味をまだ知らない。

――放課後――
「今日はここまで。片付け!」
「「はい!」」
 今日も頑張ったな、私。きつい練習を乗り越えて、ようやく片付け。ナツさん練習メニューハードにさせすぎなんですよ…。まぁ、いいんですけど。

「あ、彩華!これ」
 ナツに渡されたA4の紙。何やら質問的なことがいっぱい書いてある。
「なにこれ」
「なにこれとは何よ!あたしがせっかく考えたのに!…沈黙が続いたらこの紙に書いてある質問でもしなさい」
「はぁ」
「わかった?ちゃんと聞いてくるんだよ!じゃぁ、あたし帰るから、バイバーイ♪」
「あ、うん!バイバイ」
 いまいち理解できないまま学校を出た。

 学校の正門と通るとき誰かに声をかけられた。
「ねぇ、君が彩華?」
 振り返るとそこには……橘先輩がいた。
「!!」
 た、橘先輩が彩華って……
「もしかして間違えた?あれ?彩華っていう子じゃない?」
「え、え、え? わ、私が彩華です。ど、どうして名前を?」
「あぁ。何か吉田夏海っていうやつから頼まれてさ」
「何をですか?」
「え、何か一緒に帰ってやってくれって」
「ほぉ?」
「ははっ、お前面白いな。彩華ね?俺、橘蓮太、よろしく」
「あ、はい。七瀬彩華です、よろしくお願いします」
「じゃぁ帰るか」
「はい!」

 やっとわかった。ナツの言ってたことはこのことか。
 ナツは帰ってる途中会話がなくなったらA4の紙に書いてある質問をしてなんとか橘先輩とたくさん話せるように考えてくれたんだ!
 ナツに帰ったらメールしなきゃ。

 緊張しながらも橘先輩に失礼の無いように隣に並んで歩いた。
< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop