桜唄


『あっ……やっぱ、なんでもない』


言いそうになった言葉を、あわてて取り消す。

危ない。


好きって、意味わかんないじゃんね。

なにが?

奥原くんの優しさが好きって?


ははっ何だそれ。

意味わかんない。


奥原くんの方を見た。


ばりちと目があった。


はっとしてまたそらした。



―――好き?




好きって何さ。



変なの。


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