桜唄



―――好き?



もう一回、奥原くんの方を見た。


ほとんど同じ瞬間、奥原くんもこっちを見た。


…うわ。

またこっち見るなんて思わなかった。



―――好き…?




あ、奥原くん、笑った。


優しい。

心がおだやかになりそう。



私も笑う。


なんだかおかしくなってきて。

そのあとしばらく笑ってた。


顔があっつい。

雨なのに。

寒いのに。


顔だけ、あつかった。

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