桜唄



―――――――…そうだ。

好きって。


好きって。



こういうことなんだ。




冷たい風が吹く現実に引き戻される。


枯葉が舞う、誰もいない静かな神社。



鳥居をくぐってみる。

あの時みたいに、賽銭箱の片隅に鞄をおく。


ここから見える風景は、何も変わってない。


変わったのは、木がはげたのと、
…雨音がしないだけ。





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