桜唄


ゆっくりと封を切る。


<野々宮さんへ>


…律の字じゃ、ない。


<1年の時から気になっていました。>


…いつのこと?


<本気で好きです。付き合ってください。>


…好き?


<山下 翠>


…律の名前じゃない。



私、何も気づかなかった。



同じクラスだった山下翠くん。



何も、気づかなかった。

運命なんて感じなかったのに。



好き?



好きって?

何?


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