桜唄
それから翠とは、最寄り駅から電車で二駅のところにある大型ショッピングモールへ行った。
いろんな店を回ったり、プリクラをとったりした。
翠は変装眼鏡やバースデーハットなど、変な商品を見つけては私のところに持ってきて、
「どう?似合う!?」
と言って身につけてみせた。
毎回のことだけど、翠はどんな変なぼうしでも眼鏡でも、見事に似合ってしまうからおどろきだ。
持ち前の白い肌に、二重の大きな目、ちょっと茶色がかった髪。
そしてこの明るい性格。
学年でもかなりモテる方の翠が、なぜ私のことを好きになったのかは、つきあい始めてちょうど一年たった今日もまだわからないままだった。