桜唄
それから今度は、ショックの次に怒りが来た。
私の気持ちなんて知りもしないで別の人の手紙を渡してきた律。
『いや、俺じゃない。って何よ!何なの…』
泣きながら、ベッドに顔を埋めて、目がはれるまで泣いたあの夜。
分かってしまった。
私はこんなにも律が好きだけど。
律は私にまったく気がない。
あんなに平然と渡されるなんて。
運命だと思ったのに。
絶対、両想いになる気がしたのに。
ちがった。
運命なんて、そう簡単に現れるもんじゃなかった。
自分の幼稚さにも無性に腹が立った。
それで、三日後。
まるで律のあてつけみたいに。
翠の告白を承諾したのだった。