桜唄


「一年記念の日と、花火の日。それから今」


……昔の記憶が鮮明に頭に浮かぶ。


「何に謝ってんだよ?いつもいつも、そんなに、つらそうな顔して」


きっとそれは、

律より好きになれないことに。


…あのときも、あのときも。

翠の気持ちに自分が答えられないのがつらくて。

自分がいやで。

罪悪感で。


……律をいつまでも忘れてない自分。

謝って、自分への嫌悪感を消化して、また律への気持ちを隠蔽しようとする。





< 118 / 130 >

この作品をシェア

pagetop