桜唄
「ばーか、知ってるよそんなの」
「いった!」
翠が突然私の頬をつねるからびっくりした。
「希衣の一番になれるように頑張るって事!!」
「……翠…」
翠はきっと。
私がこの先どう動こうがきっと後悔しない。
自分の気持ちに正直に動いてる。
でも私はちがう。
もう無理だ。
後悔してる、すでに。
翠と離れようと思った。
でもこんなにも引き留めてくれる。
こんなに思ってくれる人を私は手放そうとしている。
どうすればいいの。
でももう、私は翠を手放せない。
泣かせたくない。
とてもフレない。
ああ…また私は。
律への思いを封印しようとする。