桜唄
「ごめん…最近俺、余裕なくて」
翠が乾いたように笑う。
「希衣が前…ひとりで教室で律っていいながら泣いてるの見ちゃって」
………息をのんだ。
「まあ…なんとなく感じてたことが事実って分かって、それから独占欲強すぎた」
ごめん。
笑ってそう言った。
………だから、
さいきん
よく触ってきたのかな。
髪とか、マフラーとか、
突然のキスとか。
「やばいわ…希衣がいなくなるって考えたら苦しい」
痛い。
心が痛い。