桜唄
今……
「翠、今なんか言った?」
「え?なにも」
翠の声じゃないって分かってたけど、聞かずにはいられなかった。
だって私たちは今登校中で、他に周りにだれもいない。
男か女かも区別がつかない声が、風に乗って聞こえた。
「……だれ…?」
誰にって。
なんで翠が隣にいるのにそんなこと聞くのよ。
「希衣?」
「…ごめん、なんでもない」
空耳…?
私の心の声?
そんなこと…ないとおもうけど…
もやもやしたまま校門をくぐった。