桜唄


「希衣?」



…名前を呼ばれて、はっとした。


翠の方をみる。


『まもなく、北麻倉、北麻倉』


目が、あった。


「もうすぐ着くよ」

「…うん」


翠が、寂しそうに笑った気がした。


ぎゅっ。

胸が苦しくなって、目を伏せた。


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