桜唄


「まだ、時間平気?」

駅の改札を出たところで、翠が私に聞いた。

こっちは見なかった。


うんと答えると、翠はこっちを向いてにこりと笑った。

「もうちょっと、希衣と話したい」


翠が私の手に触れた。


「…うん」


翠の手を握って、私も笑った。


そのまま歩いて、あの時計台の広場へ行き、ふたりはブランコに座った。

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