桜唄
君といっしょに
「ですからこのitが指すのは…」
窓際の席ってどうも眠くなる。
風がふわりと入ってきて、汗ばんだ首筋をひんやりと冷やした。
梅雨明けの暑さは生徒たちのやる気を一層なくさせる。
おまけに穏やかな先生のこの声。
眠さきわまりない。
「よーしそれじゃあタイムはかるぞー」
外ではどこかのクラスが体育をやっているらしい。
こんな真夏に陸上競技をもってくるなんて、この学校のカリキュラムはどうかしていると思う。
うちの学校にはプールがないからもちろん水泳の授業はない。
だから仕方ないのかもしれないけど、7月の日差しは日焼けを気にする女子には大敵であり、私は体育が憂鬱だった。