桜唄


ドサッー。


飲み物をとろうとしゃがんだのと同時に、後ろで砂利の音がした。

振り返ると、舞い上がる砂埃の中、5歳ぐらいの女の子が地面にうつ伏せの状態でいた。


「いっ……た…」


どうやらおにごっこをしていて転んだらしい。

女の子は苦痛の声をあげながら体を起こす。

砂だらけになった花柄のワンピース。

そこからのぞく膝や、ころんだときについた手には痛々しい傷があり、血がにじみ出ていた。


「だいじょうぶ!?」


私は思わずその子に駆け寄ろうとして立ち上がった。

その時。

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