桜唄
「今年も行きたいなぁ」
私の口から、自然とそんな言葉が出た。
「そうだな」
翠が言う。
「でも今年は受験だよね…」
「…勉強しなきゃ、だよなぁ」
はぁ、と二人でため息をついた。
去年は翠と行ったけど、まだつきあい始めて2ヶ月と少ししか経っていなかった。
だから二人で夏祭りというシチュエーションが私にはとても恥ずかしくてむずかゆくて。
結局伊崎くんと楓花をつれて四人で行ったのだった。
このとき、律が来たのか来なかったのかわからない。
私が翠くんとお祭り行ったこと知ってるのかな。
…まあ、どうでもいいよね、そんなこと。