桜唄


…でも。

翠と同じ学校だったら。


またこういう風に一緒に登下校して、共通の話題で盛り上がって、教科書貸したりして。

…私は居場所を失うことはないかもしれない。


いつまでもこの人の優しさに浸っていられるのかもしれない。



…私、最低。


こんなの、いつまで続くんだろう。




「どしたの?」


いきなり黙りこくった私に翠が言った。


「…ううん、なんてもないっ」


―――私はまた、作り笑い。



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