桜唄


ー数日後ー



夏祭り当日になった。

だがそんなのは私たちには関係なくて。

夏休み当日からずっと図書館に缶詰になっている。


希衣は吹奏楽部に所属していて引退間近だったが、この日は部活がなかったため、1日図書館に来ていた。


勉強が好きなわけではない。

特に楽しいわけでもない。

ただ1つのことに熱中するのは好きなほうだった。

もうすぐ部活は終わってしまう。

今度は麻西に合格することを目標にして頑張っていこうと思っていた。


…律とおなじ高校に行かないように。

考えなくてすむように。


…でも勉強しながらそうやって律のことを考えてしまうのだから、これは意味があるのかよく分からない。

分からないけど。

そうやって何かにがむしゃらになって何も考えないようにするのが、自分の傷ついた過去を隠すのに一番効果的だったのだ。

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