桜唄


四月の、雨の日。

神社で雨宿りしていた私にタオルをかしてくれた律。


あそこにいたのが翠だったら

私は翠を先に好きになっていたかもしれない。


偶然に偶然が重なって、たまたま律だった。



…最初から律を好きになる運命なんて。


運命なんて、ない。

期待したってそんなの……。


どこにもないのに…。



何後ろ向いてんだ。

いつまで立ち止まってるんだ。



ほんとにばか。



< 49 / 130 >

この作品をシェア

pagetop