桜唄


「…きい!」



暑さでだるく曖昧な意識の中。

声が聞こえた。


あの、心を安心させる声。

…それと同時に妙な苦しみと痛みを残す声。



「…みどり」


翠がいた。

息を切らせて走ってきた。


「なんでここに…」


図書館はたった今閉まったところだ。

わざわざ迎えに来たのか。

話があるのか。


わからない。

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