桜唄


そして気づいた。

これは学校に向かう道だ。


なぜ学校に向かっているのか。

わからない。

わからないのに、何もわからないのに、わからないからわくわくした。


翠がぱっと私の手をはなす。

はっとした。

翠がつかんでいたところは微妙に汗ばんでいて、空気に触れた。

瞬間、やけに、ひんやりした。



バスケ部などはまだ部活をやっているため校門は開いている。

それをくぐりぬけ、校舎の中に入る。

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