桜唄


「はぁっ…ちょ、待ってっ」

「間に合わないから!はやく!」


間に合わない?

何に?


翠は校舎内の階段をあいかわらずのスピードで上っていく。

だんだん翠の背中が離れていく。

もう希衣の脚は疲れていて、なかなか上がらなかった。


「こ、これって…」


向かう先は屋上…?



いちばん上までついたとき、いつも鍵がかかっていて開いていない屋上のドアが開いていた。




< 56 / 130 >

この作品をシェア

pagetop