桜唄


「こっち!」


翠がドアの向こうにいた。


やっとのことで翠においつき、隣に並んだ。

肩で息を整える私。


「なっ…なんで…」


なんで屋上のドアがあいてるの?

なんでここにきたの?

なんでそんなに時間がないの?


いろいろ聞きたいことがある。

でも息があがっていて声が出ない。



その隣で、翠が空を指さした。


「あれ見たかった、希衣と」


「え?」




振り返って空を見た。


その瞬間。


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