桜唄
息が、つまりそうだった。
夏のせいだろうか。
びっくりして、嬉しくて、高まる感情をどこにやったらいいか分からなかった。
明るい花火が二人を照らす。
翠の顔を見た。
目が合った。
「……え、なに泣いてんだよ」
「…え?」
ツー…
一筋の涙が頬をつたうのがわかった。
そのままコンクリートの地面にぽたりと落下した。
「み…」
「なに?」
「ごめんね…」
ごめん。
ごめん翠。
こんなにこんなに私のためにしてくれるのに。
私を振り向かせようとするのに。
好きでいてくれるのに。
あなたに向き合えない…。
ごめん、翠。
どうすればいいかわかんない。