桜唄


…目の奥がじんとする。


「わ…私なんか到底届かないよっ、今まで受かるよとか言われたことないし」

つい早口になった。

胸の奥からあついものがこみあげる。


「んなことないって!なに今から諦めてんだよ。とにかくお前は受かる俺には分かる元気だせ」


…そんなこと、そんなまじめな顔で言わないで。

分かるわけないじゃん。

私が偏差値いくつあるかも知らないのに。


「…あはっ、ありがと!」

なんだかおかしかった。

なんで私の学力のことなんかぜんぜん分かってないやつに、何の根拠もなく励まされてこんなにもほっとしたんだろ。


「野々宮さぁ」

伊崎くんが机にもたれ掛かって言った。
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