桜唄


「笑ってた方がいいぞ」

「…は?」


いきなり予期せぬことを言われて、意味が理解できない。


「お前最近疲れ切った顔してるし。頑張りすぎなんじゃね?色々」

「え…」


…疲れ切った顔?

そんな顔にでるほど勉強に追いつめられてたのかな。

自分では全くそんなこと考えなかった。


「てか~お前は笑ってた方が可愛いから!」

伊崎くんがいつもの調子にもどって、冗談めいたことを言った。


「…ほらまたそうやって、お世辞うまいよね」

「え、お世辞じゃねぇから!あはは」


伊崎くんと話していたら、なんだか気持ちがすこし軽くなった。

受験というプレッシャーで、やっぱり心がきりきりしていたのかもしれない。

お世辞でも「受かる」って言ってもらえたのが案外心に響いた。

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