桜唄
「…はいっこれで完了!」
手当を無事終えて、女の子の顔を見る。
ひまわりみたいに笑うその子。
「ありがとう、お兄ちゃんお姉ちゃん!」
純粋な笑顔。
まぶしいほどに。
そんな彼女の頭を、翠がぽんぽんと二回たたいた。
そして、女の子の顔をのぞきこみながら笑顔でこう言った。
「泣かなかったな、頑張ったな」
…じんわりと。
胸の奥底が温かくなるのがわかった。
「…うっ……うわあああんっ」
「ははっ、何で今更泣くんだよ!」
気が抜けたのか、女の子の顔がくずれて涙でいっぱいになった。