桜唄


彼女……だったりして。


私が知らないだけで。

いつのまにか、律は新しい恋に向かって歩き出してたのかな。


いつまでも止まってるのは、私だけ?


「……ははっ」


涙が目からこぼれる。


ばかじゃん。

ていうか、なんで泣いてるの?


「……っ…う」

私翠と付き合ってるのに。


なんでこんなに……。


「……りつ…っ」


ぽたぽたっ。


ノートのシャーペンの文字の上に置ちる、大粒の涙。

文字がにじんで、紙がふやけた。


…もう、気づきそうだ。

認めてしまいそうだ。


自分が、過去にとんでもない間違いをしたことに。


ほんと、ばかじゃん。


私、律をずっと忘れられない。

いつまでもいつまでも。





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