桜唄
「ゆきちゃーん!だいじょうぶー!?」
声と共に数人の子供の足音がちかづく。
振り向くと、ゆきと呼ばれた少女のともだちらしき女の子がが2人走ってきていた。
ゆきちゃんはいそいで手のひらで涙をふき、
「だいしょうぶー!」
と叫んで、その子たちのもとへと走っていった。
「は~つかれたっ」
翠が立ち上がる。
「あ、ハンカチありがとな」
「ん」
翠に手渡されたハンカチを、ふたたびかばんの中にしまった。
「ちょっと早く来すぎた!そしたら目の前で女の子が派手にずっこけた」
「…私も、早く来すぎた。そしたら翠のちょっとカッコいいこと見ちゃった」
「ちょっとってなんだよ」
翠が吹き出す。
私も笑う。