桜唄

捨てられない


「希衣、今日も図書館?」

「うん!受験まであと少し、頑張らなきゃね」


1月。

律の彼女疑惑が頭をよぎってから、2ヶ月。


翠の隣にいながら律のことであたまがいっぱいな。

そんな毎日。




風の冷たさが頬にささる。


「そか。ごめん、今日俺高校の部活出なきゃいけなくて…一緒に帰れないんだよ」


翠はもう私立に推薦で受かっている。

陸上で高校に入ったので、今後はその関係で忙しいみたいだ。


「全然平気だよ!いつもありがとね?家、図書館と逆方向なのに…」

「いいんだよ別に。俺が希衣と帰りたいだけなんだから」


……どきん。

翠が私の白いマフラーに触れた。


「これ、意外と似合う」

「……っ、そうかな?」


最近、やたら翠が近い。

とか思う。


< 81 / 130 >

この作品をシェア

pagetop