桜唄
捨てられない
「希衣、今日も図書館?」
「うん!受験まであと少し、頑張らなきゃね」
1月。
律の彼女疑惑が頭をよぎってから、2ヶ月。
翠の隣にいながら律のことであたまがいっぱいな。
そんな毎日。
風の冷たさが頬にささる。
「そか。ごめん、今日俺高校の部活出なきゃいけなくて…一緒に帰れないんだよ」
翠はもう私立に推薦で受かっている。
陸上で高校に入ったので、今後はその関係で忙しいみたいだ。
「全然平気だよ!いつもありがとね?家、図書館と逆方向なのに…」
「いいんだよ別に。俺が希衣と帰りたいだけなんだから」
……どきん。
翠が私の白いマフラーに触れた。
「これ、意外と似合う」
「……っ、そうかな?」
最近、やたら翠が近い。
とか思う。