桜唄
「希衣って絆創膏いつも持ち歩いてんのか?」
歩き出しながら翠が聞いた。
「うん、いつも持ってる」
いつも持ち歩いてるわらに、今回初めてまともに役に立った気がした。
だからちょっとドヤ顔で言ってみせる。
「なんていうか…ババアみたいだな」
「はあ!?何それどういう意味!」
「はははっそのまんま~!」
まだ中学三年生の女子にババアとか言っちゃう翠をにらんでやった。
翠がこっちをむく。
…目があう。
「嘘だよ、女子らしくていいじゃん」
助かったし、
そう付け足して、またにかっと笑った。
「そっ…それはどーも」
思わず俯いた。
…不覚にも照れる。
そのとき。
「おねえちゃーーん!」
後ろから、あの子供の声がした。