桜唄
一回手に取ったタオルを奥原くんに戻す。
『え…あの…?』
戸惑う奥原くん。
あたりまえだ。
『…奥原くんもずぶ濡れだし…悪いよ』
とか言って、あたしもずぶ濡れ。
説得力ない。
あ!そうだ。
私もタオル持ってるとか言えばいいんだ。
さっき鞄をふいたハンカチを見せて
『私もハンカチ持ってるから平気だよ』
といった。
でもこのハンカチもずぶ濡れで。
…説得力なさすぎ。
自分のおろかさに思わず苦笑した。