パパは幼なじみ
「いってきます。」

いつもよりも10分早く家を出た。

私の通っている私立真田学園は、家から自転車で20分ほどの場所にある中高一貫校。そこの高等部2年生だ。少しでも拓人と一緒にいたくて選んだ学校だった。
3年離れているから幼稚園は一緒に行けなかった。小学校も3年生まで。だから中学校3年間、一緒に登校できる真田学園に決めたんだ。

今はもうどうでもいいことだ。ココにして良かったことは、近いことと受験がなかったことだけ。


自転車を物置から出して出発しかけたその時、肩に手がかかった。とびきりの拓人の笑顔が目に飛びこむ。

「俺も職場そっち方向だし、一緒に行こう。ほら、学生の頃みたいにさ!」

私はまだ十分学生ですけど。先に大人になったような言い方がかんに障る。ま、実際社会人だけど。
肩に乗せられた手を静かに払って自転車にまたがった。

「朝練があるから急ぐの。だから先にいってきます。」
「あ、おい!真奈!!」

帰宅部の私は朝の道を急いだ。
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