パパは幼なじみ
「3つ上なんだ。」
「そうなるな。俺の母親と愛ちゃんの母親が中学校来の友達らしくて、頻繁に会っててさ。それで俺たちも知り合ったんだ。」
「ふーん。」

なぜか拓人は、高田とのことを話し始めた。

「俺は男の子だからさ、サッカーとか外で遊ぶのが好きでよく付き合わせてたらしいんだ。それに年齢的にも俺、弟の立場だろ?だから愛ちゃん、頼れるお兄ちゃんみたいな存在だったんだ。」
「お、お兄ちゃん…?」
「実際、愛ちゃんが小学生になるまで“あんちゃん”つってたし。」

詳しく聞いてみると、髪が短く、スポーツもでき、あの声だから男の子だと思っていたらしい。母親が“あいちゃん”と言っていたのが“あんちゃん”に聞こえていたのも原因の1つだそうだ。

高田が女らしさにこだわっている理由もうなずける気がする。
でも……

「負けないから」
「ん?何が?」
「あっ…な、なんでもない」

思わず出ていた心の声に、拓人が不審そうな顔をしている。私は逃げるように部屋に戻った。
< 107 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop