パパは幼なじみ
「真奈おっはよー!!」
「うわっ!!」

不意に後ろから背中をたたかれた。ヒリヒリとした痛みに現実に戻される。たたいた片倉早紀(16)は空手部エース。さすがに痛い。

「早紀、おはよ…痛いんだけど…。」
「ごっめ~ん!元気なさげだったからさ!でた?元気。」
「痛いだけだった。」
「も~真奈ったら!」


早紀は数少ない小学校からの友達。私の学区には中学校がもう一つあって、大多数はそっちに行ってしまうため、真田学園に入学した頃は知り合いが少なかった。だから早紀は親友で、唯一、拓人とのことを知っている。


「また拓人さんのことでなんかあったの?」
「別に。朝からムカついただけ。」
「夢でも見たの?」
「…気にしないで。」
「真奈はそんなぶっきらぼうな人じゃなかったよ?ほら、スマイルスマイル!」

スマイル…いつから見せてないかな。パパが死んでから?いや、違う。きっとパパが変わってからだ。
笑顔を全部拓人に吸われてしまった気がする。
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