パパは幼なじみ
昨日も行ったお店だから、場所はしっかり覚えている。
落ち着いた雰囲気のある小さなカフェ。それより喫茶店という言葉のほうが似合う。


「いらっしゃーい！あら、徹ちゃんじゃないの！昨日のお嬢さんも一緒ね。カウンター、空いてるからどうぞ？」
「ごめん、幸子おばさん。今日は内緒の話があるからカウンターは…」
「そうなの？だったら今日は個室が空いてるから使っていいわよ！」

そう、ここは徹くんのおばさんの店。だからタダなのだ。ふつうならお金がかかる個室もタダで貸してもらえた。



「じゃあ理由教えて。」

いい香りを放つブラックコーヒーを飲みながら尋問を始める。

「くだらないかもしれないけど…」

オレンジジュースを一口飲むと、口ごもりながらも話し始めた。

「僕と明正とありさは幼稚園時代からの幼なじみっていうのはもう知ってるよね？あの頃は明正ともすごく仲が良かった。でも僕は…」





話が終わる頃には外はすっかり暗くなっていた。

「またいらっしゃい。徹ちゃん、ちゃんと送ってあげるのよ、彼女さん。」
「もちろん。彼氏の役目だからね！」

恋人ごっこは始まってしまった。
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